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バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ

2002年から2016年にかけてミラ・ジョヴォヴィッチ主演で公開されたシリーズとは異なり、リブートされた第1作目となる。
監督は『ストレンジャーズ 地獄からの訪問者』のヨハネス・ロバーツ。主演はドラマ『スキンズ』でエフィー役を演じたカヤ・スコデラリオ。

あらすじ

アメリカ中西部の都市ラクーンシティは製薬会社アンブレラの企業城下町として栄えたが、アンブレラの他都市への移転がすすみ、今は衰退の一途をたどっている。そんな中、かつてラクーンシティの孤児院で暮らしていたクレア・レッドフィールドは、アンブレラが引き起こしたバイオハザードにより、街の住民が汚染されていることを知人からの告発で知り、5年ぶりに故郷へと戻ってきた。
その頃クレアの兄クリス・レッドフィールドは、ラクーン市警察の特殊部隊S.T.A.R.S.の隊員として、連絡が途絶えた警官たちを捜索するため、ヘリでラークレイ山中のスペンサー邸へ向かっていた。街では住民がゾンビ化して治安は完全に崩壊、またアンブレラによる都市の封鎖により脱出することもできず、警察署に立て籠もったクレアとレオン、所長のアイアンズは、ヘリによる脱出に一縷の望みをかけて、クリスたちの後を追う。

ゲームをただ映像化しても面白くはならない

かつて映画化されたミラ・ジョヴォヴィッチ版『バイオハザード』は、元々ゲーム1作目の核となる部分だけをベースに独自路線を歩んだ結果、ほぼ別作品となってたが、今作はリブートということで、映画という媒体でゲームの世界観をどれだけ再現できるのか楽しみにしていたのだが、はっきり言って期待ハズレもいいところであった。

原作の設定を大幅にいじるのはハリウッド映画ではよくあることで、これ自体は別に悪いことだとは思わないのだが、それが「作品として面白くなる」ほうへ向かっていなければ意味がない。
「クレアとクリスがアンブレラの孤児院出身」「ジルがウェスカーに恋愛感情を抱いている」「レオンが単なるドジな面白キャラ枠になっている」といった点がストーリーに全く生かされておらず、この設定にする意味は果たしてあったのか?という疑問が残る。
ストーリーも場当たり的で感心するような展開や結末があるわけではなく、かといってアクション映画としても凡庸で手に汗握る展開というわけでもない。やたらゲームで見たことのある場面や小道具、セリフが出てくるが、効果的に使用されているとは言い難く、「ただ並べただけ」感が強い。
そもそも『バイオハザード』以前に、映画としての演出に稚拙さを感じるのが一番の問題である。シーン1つ1つが妙にアップショットで背景の広がりや奥行きが感じられず、ゾンビも少人数で群衆が大挙して押し寄せてくるといったシーンもない。 丁寧な描写が無く作り込みが甘いため、街全体が地獄絵図と化しているような雰囲気が画面から全く伝わってこないため、低予算で苦労しているのかな等と変に同情してしまうほどであった。

ロバーツ監督は、ゲーム第2作のリメイク『RE:2』のトーンを目指したとインタビューで語っていたそうだが、絵面としての再現度はなかなか良かったと思う。 ただし前述の通りストーリーや演出がひどい有様なので、決して褒められたものではない。
近年流行りの手法で、エンドロール中に次作へのつながりを示唆するシーンが登場するが、これで続編が作られるとは到底思えない。

ミラ・ジョヴォヴィッチ版の第1作はゲームの設定を大幅に変えつつも「映画として、これはこれでありだな」と思わせるだけの作品だったが、今作の出来栄えを見るに、監督の力量の差を感じずにはいられなかった。

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